フワフワ系衣のからあげは“元祖がえり”か!?
『パンダレストラン』鶏肉の唐揚げ
からあげの衣の食感は、“カリカリ系”と“フワフワ系”に大別される傾向にあり、最近の主流はカリカリ系。余分な油を吸わず、歯を立てると「カリッ!」という気持ちのいい音のあとに、やわらかい肉と混ざり合う食感が好評のようです。しかしフワフワ系も捨てたもんじゃありません。渋谷にある中国料理の『パンダレストラン』では、フワフワ系の王道のようなからあげを食べることができます。こちらの〈鶏肉の唐揚げ・780円〉には山梨県の銘柄鶏・信玄どりのモモ肉が使用されており、これは植物性飼料で育てた臭みの少ない、やわらかい肉質が特徴の鶏肉です。
さてカリカリ系衣は、片栗粉や小麦粉などの“粉”のみで作られますが、フワフワ系は一般的に、小麦粉は使わず卵を加えます。パンダレストランでも、卵とベーキングパウダーで作っており、これがフワフワ食感の源。実際に食べてみると、カリカリ系との違いは明確です。歯を立てると衣が一気に崩れるカリカリ系に対し、ここの衣はクッションのように一瞬フワリと受け止めてくれます。そして衣と一緒に歯が肉の中に沈んでいくので、噛み切ったときの肉汁のあふれ方がハンパない!おまけに肉もやわらかいので、フワフワ食感の2段重ね。肉と衣が舌の上でゆっくりと一緒にとろけていく感じです。味付けは薄めながらもうま味十分。カリカリ系衣に慣れた口には、このくちどけのやさしい食感は新鮮でした。
ところでからあげは、中国料理のイメージをお持ちの人もいるのではないでしょうか。江戸時代に中国から伝わった料理専門書『普茶料理抄』では、小さく切った豆腐を揚げて、酒やしょうゆで味付けしたものを「唐揚げ(とうあげ)」と表記していたそうです。これが現在のからあげに変化していったのかもしれません。豆腐ですから、きっとフワフワの食感だったのでしょうね。パンダレストランのからあげは、ひょっとするとからあげの“元祖がえり”かもしれません。
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