洋食からあげは白ワインの酸味が決め手
『レストラン香味屋』チキンの唐揚げ
和食、中華料理のイメージが強いからあげですが、今回は洋食レストランのからあげ。「洋食のからあげってフライドチキンのこと?」という質問を受けそうですが、フライドチキンは衣に味付けしたり、揚げる前に蒸したりするのでからあげとは別の食べ物。からあげは衣ではなく肉に味付けをするのが基本。では洋食として提供されるからあげとは一体…?
東京・根岸にある『レストラン香味屋』は、大正十四年創業の老舗レストラン。付近には寺院がたくさんあり、法事などの仕出しも洋食でおこなっているという、古くから地域に根付いたお店です。メニューを見ると、肉料理とは別に「鶏肉料理」というジャンルが。なにやらこだわりを感じさせます。
〈チキンの唐揚げ・2,000円〉をいただきました。ひと口ほおばると、明らかにしょうゆなどの和食系からあげとは異なる、あっさりした風味が広がります。しかもこのからあげ、歯が肉の中にゆっくりと沈んでいくほどに柔らかく、軽いにんにくの風味と酸味が飲み込む寸前にのどをふわりと包み込んでくれます。
衣がじつに不思議な食感。第一印象はシャリっとした歯ごたえですが、しばらくすると歯の上でじわりと溶けてゆく感じ。柔らかい肉とすぐに一体になってくれます。
からあげの味付けに使う酒類といえば、日本酒か味醂が一般的ですが、それは和食系からあげの話。こちらのからあげ、味付けには白ワインを使っているとのこと。ワインはほかの酒類に比べ、肉を柔らかくする効果が高いという研究報告があります。とくに白ワインは赤ワインに比べて酸味が強く、より柔らかく、味もあっさりしたものになるのだとか。ひと口目の軽い酸味は白ワイン効果だったのですね。
今回は洋食ということで、ナイフとフォークでいただきました。いつもは箸か手づかみの私ですが、たまには気分が変わっていいもんです。和洋中を問わず楽しめるからあげは、世界人類に愛される料理なのかも?
徳間書店・食楽web「から活日記」より
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