商店街の名物からあげは、通行人を足止めする!

『中津からあげ 溪』骨なしモモ

 日本一長い商店街とも言われる戸越銀座商店街の『中津からあげ 溪』は“からあげの聖地・中津”の名を冠したお店。マスターも中津市耶馬渓のご出身で、店名にもそれが表現されています。聖地のからあげを都内で味わえる、数少ないお店と言えるでしょう。

 伺ったのは平日の午後。数メートル先にもすでにからあげのいい香りが漂っており、つい足が早まってしまいます。テイクアウトがメインのお店ですが、食べるスペースもあり。100gで260円の〈骨なしモモ〉を300gと生ビールを購入し、お店の前のスタンディングテーブルでいただきました。

 しょうゆの下味がしっかりとついており、あとからジワジワ効いてくる生姜の風味も抜群。やや厚めの衣は、最初はカリッとした“抵抗”を一瞬見せますが、すぐにフワッと歯を包み込んでくれる“包容力”ある食感を出してきます。噛み切って食べるというより、歯と唇でそっとはがして食べるという印象。

「これ、付けてみてください」

マスターが私に差し出したのは柚胡椒。たしか柚胡椒は大分の特産のひとつ。からあげに少しのせて食べてみると、ピリッとした辛味に、柚の爽やかな風味が加わり、聖地・中津の濃い味付けでついビールもすすみます。

この日は平日ながら、カップルや外国人観光客などで商店街は賑わっていました。私がお店の前でからあげを食べているほんの数分の間にも、何組かのカップルが足を止め、お店を眺めながら

「おいしそう…」

と言って店内に入って行きます。外国人観光客とおぼしき年配のご夫婦も二言三言交わして、これまた吸い込まれるように店内へ。

 からあげの香りに誘われたのか?私が美味しそうに食べていたからなのか?いずれにしても通行人を足止めしてしまうからあげ、この商店街の名物と化しているかもしれません。

ちょっとした観光地となっている戸越銀座商店街。からあげを食べながら散策するのがひとつのスタイルになるでしょう。


徳間書店「食楽web」~カラアゲニストの「から活」日記~より


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