元祖フライチキンバスケット、浅草にあり?


『銀座ブラジル・浅草店』元祖フライチキンバスケット

 浅草・新仲見世商店街のビルの2階にある「銀座ブラジル・浅草店」。戦後、銀座でオープンし、昭和39年の東京オリンピック以前には浅草に移転してきたという、昭和レトロの雰囲気漂う喫茶店です。

 名物は〈元祖フライチキンバスケット〉と〈元祖ロースカツサンド〉。いずれも1,000円。今ではすっかりおなじみのチキンバスケットの元祖または発祥とされるお店はいくつかありますが、ここはそのひとつだそう。開店当時の店主がアメリカで見た食べ物を日本風にアレンジしたのだとか。

 元祖フライチキンバスケットは、衣にパン粉をまぶして揚げたささみのフライ。「なんだ、チキンカツじゃん!」というツッコミはさておき、大きめのフライチキンが4個、フライポテトに厚切りトースト、玉ねぎと人参のピクルスも一緒にバスケットに盛り付けられています。

 フォークはなし。かわりに店員さんがたくさんの紙ナプキンを持ってきてくれます。手で食べるってことですね。さっそくフライチキンをひとつ。噛んだときの音が実に爽快。「カリッ」ではなく、かと言って「シャリッ」でもないような…。でもどこかで聞いたことのある、懐かしくそして美しい音。何度も噛んでみるうちに思い出した!雪の日、ザラメ状の雪を手ですくったときのような音。雪があまり降らない九州出身の私だけが懐かしさを覚えるのかもしれませんが…。

 レモンと塩をつけて食べるようですが、私はあえて何もつけずそのまま。ささみの柔らかさがハンパない。これまでチキンカツと呼ばれるものを相当食べてきましたが、ここまで肉が柔らかいものは初めて。しかも肉汁もじんわり出てきて、旨味も十分。何もつけなくて正解でした。

 ところでこちらの店名。銀座時代はブラジルのコーヒー豆を販売いたのだとか。それが浅草に移ってこの店名になったのでしょう。銀座、ブラジル、浅草…。地名が3つも入った不思議なお店です。ちなみに1階はシカゴ靴店(笑)。

徳間書店「食楽web」~カラアゲニストの「から活」日記~より

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