からあげと竜田揚げの違いをご存じですか?
『銀座 いけ田』若鶏の竜田揚げ
「からあげと竜田揚げの違いは何か?」という質問をときどき受けます。調理法において両者には微妙な違いがあります。からあげは衣に小麦粉や片栗粉、米粉や餅粉などを使用し、ベースの味付けもしょうゆ、塩、カレーなどさまざま。竜田揚げは衣には片栗粉のみ、ベースの味付けはしょうゆのみ。「じゃあ、片栗粉の衣でしょうゆ味のからあげと同じじゃん!」というツッコミを受けそうです。両者の境界にはあいまいな部分もあり、竜田揚げを含む同様の調理法による揚げ物の総称がからあげ、という人もいるほどです。
そんな議論はさておき、おいしい鶏の竜田揚げを食べさせてくれる『銀座 いけ田』の竜田揚げはムネ肉を使用しているのが特徴です。ショウガと長ネギを入れた香り酒にひと晩漬け込むのだそうで、さわやかな風味を楽しめる味付けになっています。パサパサした食感はなく、むしろしっかりとした肉質という印象で、サックリとした歯ざわりになっています。かすかにモッチリ感もあり、噛めば噛むほどにうま味がにじり出てくるのがうれしい。衣には北海道美幌産の片栗粉を使用しているとのこと。カリッとした上品な歯ごたえに仕上がっています。
ちなみにこちらの『銀座 いけ田』は鶏料理や揚げ物に力を入れており、鶏のからあげや油淋鶏、豚肉のチャリハイピンなども人気のようです。
さてここで竜田揚げの豆知識を。奈良県の竜田川流域は古くから紅葉の名所と言われています。衣の白い部分が竜田川の川面に、肉の赤い部分が色づく紅葉に似ていることから、この名前がついたと言われます。また旧日本海軍の軽巡洋艦「龍田」の料理長が発案したことに由来するという説もあり、はっきりとしたことはわかりません。
名前の由来も、からあげとの違いもはっきりしない竜田揚げ。一説によるとからあげは中国発祥、竜田揚げは日本発祥とも言われています。いずれにしても「からあげ」の奥深さを感じさせてくれる食べ物ですね。
徳間書店・食楽web「から活日記」より
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